PROJECTSFebruary 28, 2022
インターン卒業生に見る人材輩出企業スローガンの裏側—Slogan Intern Alumni Network—
PICK UP
上場を記念し、過去15年間のインターン卒業生が一堂に会するイベントが開催されました。参加者は総勢60名超。その錚々たる顔ぶれと、苦楽を共にしたかつての仲間同士が織りなすディープなトークセッションから、人材輩出企業スローガンの真髄に迫ります。
スローガンを起点に繋がる「人と人」の共創を目指す
伊藤:皆さん、お久しぶりです。ちょうど昨年上場したこともあり、僕から近況報告できればと思います。2021年11月、スローガンはマザーズに上場しました。社会的目的の高いスローガンを社会に継承していく、大きな一歩を踏み出せたことを嬉しく思っています。
創業から10年ほどは、市場をゼロから創っていたので事業成長は遅かったと思います。その後5年ほど、ミッションとエンパワーメントを両輪に半ば職人芸的に推し進めてきました。現在は、ビジョンや戦略と現場の創発を融合した共創型の体制を模索しています。そのために事業マネジメントシステムの導入や継続的な新規事業の立ち上げ、それに伴う事業リーダー育成などに注力しています。
さて今回のイベントも含めたこのネットワークについてですが、勝手にSlogan Intern Alumni Networkと名付けました(笑)。毎年30〜80名ものインターン生がいるので、年代や業界横断で卒業生同士のネットワークが活性化すれば、スローガンでインターンしていたこと自体が皆さんの次のキャリアに活用できる財産になるんじゃないかなと。スローガン自体も、副業や協業など皆さんとオープンイノベーション的に繋がっていければ素敵だなと思います。今後ともよろしくお願いします。
愚直に事業と向き合い続ける20代取締役が求める“ゆるい繋がり”
松浦 悠介株式会社ビビッドガーデン 取締役
一橋大学社会学部卒業後、従業員数30,000名を超える外資系企業に入社。その後、1年目に当時5名の株式会社ビビッドガーデンに転職し、2021年から同社取締役を務める。
西川 ジョニー 雄介スローガン株式会社 FastGrow事業部 執行役員 事業部長 兼 編集長
モバイルファクトリーに新卒入社。2012年12月、社員数3名のアッションにてWebコンサル事業を立ち上げ、同ツール開発インド企業との国内独占提携を実現。2015年7月よりスローガンに参画後、外資コンサル特化の就活メディアFactLogicの立ち上げを行う。2017年2月よりFastGrowを構想し、現在は事業責任者兼編集長を務める。
西川:まず僕と松浦さんの関係について話すと、FactLogicというコンサルティング就活向けサービスを立ち上げるタイミングでインターンとして入ってきてくれたのが松浦さんでした。常にコミット高く自分で考えて動いてくれていたのが印象的です。その後のキャリアはどんな感じですか?
松浦:インターン2社目がスローガンで、3社目はまた別の会社でインターンして、4社目に西川さんから紹介してもらったビビッドガーデンでインターンしてました。4社のインターンを通してある程度フロントは知ることができたので、次は仮想化とかクラウドとか知りたいなと考えてました。なので新卒で仮想化の会社に入社したのですが、1年経たずにビビッドガーデンに転職し今に至るという感じです。仕事をするスピード感やロジカルシンキングなど全部西川さんに教えてもらって、僕の仕事観のベースになっています。
西川:松浦さんは若くして取締役になったと思うのですが、どんなこと意識してたんですか?
松浦:取締役という役割に興味があったわけではないのですが、愚直に事業に向き合い続けていたらここにいたという感じです。逆にそれが良かったのかも、とは思います。
西川:このインターン卒業生ネットワークに対してぶっちゃけどう思ってますか?
松浦:大事だなと感じてます。特に20代で役員になると、属するコミュニティが多くないので、カジュアルに相談できる関係性を作るのが大変だと感じることがあります。今は経営や事業で壁にぶつかったときに気軽に相談できる方が多くないので、ネットで詳しそうな方を探してSNSでDMを送ることもあります。
西川:ビビッドガーデンでもこのネットワークでも、こういうことできたらいいなと思うことありますか?
松浦:スタートアップ界隈は特に、いきなり転職じゃなくてちょっと副業でゆるく関わるとかワンクッション挟める仕組みがもっと増えて欲しいなと思っています。コミュニティで言うと、やっぱりゆるい繋がりが欲しいです。会ってすぐ転職しませんか!の話じゃなくて、オンライン懇親会とかチャットグループとかでも気軽に話せる場があるのが嬉しいですね。
「失敗も役割のうち」—事業創りの最前線を走る社内起業家の視点
小町 俊樹株式会社リクルート Alumy責任者
早稲田大学卒業。在学中は、海外ベンチャーや立ち上げフェーズの企業でインターンを経験。新卒でリクルートに入社し、人事、営業、企画など複数の部署を経験。並行して社内新規事業制度のRingにてAlumyを起案。応募総数約1,000件の中でグランプリを受賞し、事業化に至る。現在はAlumyの責任者を務める。
槙村 美夢スローガン株式会社 COO室
慶應義塾大学卒。起業家支援を行う会社やインドの広告会社でのインターンを経てスローガンに入社。法人営業を経験した後、自身の経験を元に長期インターンメディアの立ち上げに携わる。一事業部として拡大し、事業責任者を務める。現在はCOO室にて事業支援に従事。
槙村:小町さんは、当時営業職のインターンを希望して面談にきたのに、私が「営業のようなものだから」と丸め込んで採用しました(笑)。
小町:新卒でリクルートに入社後、晴れて営業職につきましたよ(笑)。2020年にリクルートの新規事業コンテスト「Ring」でグランプリを獲得し、次世代事業開発室POなどを経て、2021年1月に『Alumy(アルミー)』というサービスをリリースしました。
槙村:Alumyのプレスリリースには実証実験開始って書いてありましたが、具体的にはどういうフェーズなんですか?
小町:PMF(プロダクトマーケットフィット)を検証するフェーズです。このフェーズを突破すると正式に事業として認められます。
槙村:突破というと?
小町:「顧客に価値を出せるか」「顧客にお金を払ってもらえるか」「事業としてスケールするか」の3段階に分かれていて、半年に1回設定した目標段階に到達しているかを査定されます。投資家と起業家の戦いって感じですね(笑)。僕たちの次の目標は、「顧客に価値を出せるか」です。社内事業なので失敗も含めて「検証すること」が重視されます。事業を立ち上げて成長させることはもちろんですが、「何ができて何ができないのか」を明らかにしていく役割もあるのです。
槙村:リクルートの中でやるからこそのメリットとか苦労するポイントって何ですか?
小町:わかりやすく苦戦しているのはスピード感ですね。特にセキュリティとか法務。セキュリティ観点でなかなかリリースできなかったり……。メリットは、サービスを世に出した時のインパクトと社内リソースの使い方。Alumyも、プレスリリースを出した瞬間一気に問い合わせがきました。社内からも反響があって、他事業部の営業の方から「これいいね、売ってきてあげるよ」と声をかけてもらい、何もしなくても売れるなんてこともあります(笑)。
槙村:最後に一言お願いします!
小町:やっぱりスローガンのみなさんはスタートアップで活躍されている方が多くて尊敬しています。僕みたいな社内起業家というカテゴリとも交わるきっかけになれば嬉しいです。
「何も決まってないって最高」—挑み続けるイスラエル起業家
寺田 彼日AironWorks株式会社 代表取締役 CEO
京都大学経営管理大学院(MBA)、大阪大学経済学部卒。Sloganの京都支社起ち上げ、トルコKoç Universityへの留学を経て、Benesse Corporationにてデジタルマーケティング及び社内新規事業に携わる。2014年よりイスラエルにて日本人として初めてのスタートアップ企業Aniwoを創業し、大手企業とイスラエルスタートアップのオープンイノベーションの推進に携わる。2021年よりAniwoからのスピンオフでサイバーセキュリティ事業を起ち上げAironWorksを創業。
野島 繁昭リース株式会社 執行役員 CHRO
早稲田大学在学中、スローガンに学生インターンとして参画後、大学院を中退し入社。2011年秋より京都支社を立ち上げる。2014年6月より東京本社に帰任し、Goodfindメディア責任者を務める。2021年4月よりリース株式会社の執行役員CHROに就任。その傍らでスタートアップHR領域のアドバイザや、ベンチャー経営者/エース人材向けのコーチングも行う。
野島:寺田さんはGoodfind京都支社立ち上げの時、社員のように一緒にやってきた仲間です。
寺田:野島さんとの出会いはGoodfindセミナーでした。セミナー参加後、野島さんと面談してすぐ働くことになって、セミナー企画から集客、講師、インターンの企画運営まで本当に色々やりました。新卒でベネッセに入社し、デジタルマーケティングや新規事業に関わったあと、2014年に日本人として初めてイスラエルでスタートアップを立ち上げました。主に日本の大企業とイスラエルスタートアップのオープンイノベーション支援事業をしています。2021年にはサイバーセキュリティに特化した事業も立ち上げて法人化し、銀行や金融機関を中心に導入してもらっているところです。
野島:寺田さんのすごいところは一番最初に飛び込んだことですよね。実は寺田さんが参加してくれたセミナーの開催前日に京都支社を作ることが決まって。支社を立ち上げること以外何も決まってないのにとりあえず誘ったら「何も決まってないって最高ですね!」と入社してくれました(笑)。思い返せばあの頃から寺田さんのアントレプレナーシップは爆発してましたね。
そういえば、こないだ資金調達したみたいですね。これまでの苦しかった時期とこれから目指していくものについて教えてください。
寺田:イスラエルってかなり物価が高くて、最初2、3年は給料なしで家もAirbnbで貸して自分は野宿するような生活を送ってたんです(笑)。3年くらいしてやっと黒字化してまともになってきました。現在は、先ほど紹介したサイバーセキュリティのプロダクトも順調に伸びてきています。
野島:2本目の事業始める時って、潤沢なお金があったり、1本目の事業が成功したりといったタイミングが多いですよね。あえて苦しい中で2本目の事業始めるって結構大胆な意思決定だったのでは。
寺田:1本目の事業は労働集約的なモデルで、それだけをずっとやっていても埒があかないので新しい事業をどんどん作っていこうというのは決めていました。数千万ずつ投資していくつか事業立ち上げ、筋が良さそうなものに自分のリソースを全振りしています。
野島:なるほど。そのサイバーセキュリティ事業って、日本にいながらも関われたりするんですか?
寺田:もちろんです。サイバーセキュリティ市場は日本でも伸びてきているので、興味ある人はぜひジョインしていただきたいです。
“Shapers”のゆるい繋がりが、次の挑戦のきっかけとなる
他にも、GMO-VPキャピタリスト 川野真太郎氏、リンクウェル共同創業者 山本遼祐氏、スローガン取締役 執行役員COO 仁平理斗氏による鼎談や参加者交流会で賑わいました。
成長ベンチャー・スタットアップの支援という見晴らしの良い場所から、あらゆる業界でビジネストレンドの最前線を臨んできたかつての学生たち。彼らは「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」というミッションを自ら体現してきたスローガンと共に、いくつもの新しい何かを創りあげてきました。そして現在は、起業家やCxO、事業責任者として、医療・IT・金融・コンサルティング・官公庁などあらゆる分野の第一線でその才能を開花させています。新たな舞台で活躍しながらもスローガンの目指すものと自身のキャリアが重なり、再びスローガンに戻ってきた現CFO、COOも例外ではありません。
そしてまさにShapers(かたちつくる人)といえる彼らのゆるい繋がりは、知見を共有し刺激し合うことで次の挑戦へとつながる財産になりつつあります。実際、今回イベントに参加した方からも「挑戦的なキャリアに挑んでる人の話を聞き、改めて刺激を受けた」「異なる業界やレイヤーの話を聞くことで、学びを得たし、自分の仕事の意義を再確認するきっかけになった」「スローガンには優秀な方が在籍してたと実感した」といった声をいただきました。
Slogan Intern Alumni Networkは、今後もJournalへの卒業生インタビュー掲載やオンラインコミュニティ、スローガンとのコラボなどさまざまな形で繋がり、ベンチャー・スタートアップ界隈を始めとする新産業領域を盛り上げ、「人」を起点とした新産業創出に寄与し続けます。