CULTUREOctober 10, 2019
創業者 伊藤 豊が語る、スローガンのカルチャーとは

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創業から14年を迎えるスローガンの創業者で代表取締役社長の伊藤豊が、スローガンのカルチャーについて語る企画です。コーポレートサイトリニューアルの記念にインタビューを実施しました。
インタビュアー:スローガンという組織のカルチャーについて教えてほしいです。他の会社と比べて際立ってて特徴的なところは何でしょうか?
伊藤:スローガンはこんなカルチャーの会社だよって簡潔に語ることは容易ではないですね。ただ、どんな組織にしたいと思っているかという組織観(組織に関する価値観みたいなもの)とそのための努力や取り組みの具体例については語れるかもしれません。
インタビュアー:では、組織観から教えてください。
伊藤:全ては会社の存在意義でもあるミッション(長期で追いかけ続けるもの)を起点に考えたいと思っています。スローガンのミッションは「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」です。
ミッションを実現するためにどんな事業を展開していくか?を考えて、事業を通してミッションの実現を追求するわけですが、同時に、自分たちの組織もミッションを体現する組織でありたいと考えています。
この組織は人の可能性を引き出せているだろうか?この組織では才能は最適に配置されているだろうか?この組織で新産業創出につながる働き方ができているだろうか?とか。こういったミッションとの対話的な問いが大事だと考えています。
インタビュアー:ミッションとの対話的な問い。なんだか難しそうです。
伊藤:そうです。難しいです。対話的な問いである以上は、葛藤を伴いますし、答えが一つ明確にあるわけではないケースがほとんどです。常に社会は変化するし、自分たちも変わり続けています。変わり続ける環境と自分たちを前提に、普遍的なミッションを追いかけるために、どうバランス取り続けることができるか。
経営者にとって組織課題って本当に悩ましいことが多いし、成長企業にとっては特に、毎日が経験したことのないゾーンに突入し続ける日々なので、確かな処方箋や答えを探したくなる弱い気持ちも持ちやすいと思います。でも、他社と比べたり、ベストプラクティス的な事例をひっぱってきたところでパッチワークになり混乱するだけです。
インタビュアー:たしかに、スローガンは独特の雰囲気というか、マイペースな印象を受けます。自分たちの基準で考えるということを意識的にされていたのですね?
伊藤:まだまだ成長途上ですし、組織づくりという観点ではまだまだ不十分な点がたくさんあると思いますが、スローガンのカルチャーを少しでも理解してもらうために、いくつか具体的な組織施策について説明してみたいと思います。
「人の可能性を引き出す」というミッションと深く関わってくる部分なのですが、スローガンでは、個々人の成長のためにフィードバックを大事にする文化を構築しようとしています。そのために、メタ認知という言葉だったり、自己開示というキーワードが飛び交うカルチャーが存在するのは特徴的かもしれません。
インタビュアー:フィードバックを大事にするから、メタ認知や自己開示を重視するというのはどういうことですか?
伊藤:はい、フィードバックを率直にし合うためには、信頼関係が大事で、信頼関係を構築するには互いに自己開示をする必要がある。自己開示を適切にするためには自己認識力を上げる必要があり、自己認知を適切に得るにはメタ認知力が重要なんです。
具体的な施策としては、1on1(ワンオンワン)という1対1の面談をマネジャーとメンバーで定期的に実施しています。最低でも月1回30分、多い部署だと毎週メンバーと30分から1時間とっているケースもあります。
新任のマネジャーは全員と1on1をしっかりやり、まずは自分から自己開示をしていくことで、メンバーとの信頼関係を構築することを意識しています。自己開示と言っても、何でもかんでも開示するわけではなく、価値観や価値観のもとになった経験、自分で強みだと思っていることや、逆に苦手や課題だと思っていること、なども率直に伝えるイメージです。
インタビュアー:毎週1on1をやっている部署もあるんですね。隔週とか月1回の会社も多い気がするので、活発な印象です。それだけやるに値する効果はあるんですか?
伊藤:定量的には示しにくいのですが、やる価値はあると考えています。1on1についての価値が見えにくいと言われやすい原因の一つは、可視化されずにブラックボックスになるからです。私たちもその課題感があり、自社でツールを開発し、1on1の会話ログを共有するTeamUpというクラウドツールを使っています。
TeamUpを使うと、1on1で話したいことを事前に共有したり、会話ログを共有できるので、現場で起きている課題やメンバーが気にしているもやもやの原因に、タイムリーに気づくことができます。マネジメントと人事とで連携しながら、組織を改善していくための生データとしても機能します。
インタビュアー:ひとりひとりの1on1の声を本当に拾うことができれば、「才能の最適配置」の実現にも寄与しそうですよね?
伊藤:はい、そのとおりです。スローガンの特徴的なカルチャーのもう1つは、まさに「才能の最適配置」を体現するためのものですが、メンバーの声を聴く姿勢と、自主性を尊重することだと思います。
TeamUpの1on1のログデータも活用しますが、全社でアンケートをしっかり取る文化にしています。エンゲージメントサーベイとしてwevoxというツールも導入していますが、自社でもオリジナルでキャリアアンケートという四半期に一度のキャリア意識に関する調査を人事主導で行っています。また、全社集会や研修などの後にも必ずアンケートを収集します。
そういった日々のアナログなデータを統合して、一人一人についての人事異動やキャリアプランについて考える時間をマネジメント層で確保しています。
インタビュアー:そこまでやることで具体的にはどんな効果があるのでしょうか?
伊藤:エンゲージメントが上がるとそれだけ生産性や創造性も上がりますし、業績に対してもプラスの相関があると思います。実際にこの手の取り組みを強化してから、業績の伸び率も高くなっています。
また、離職に関しても、取り組みが弱かった頃においては、辞めると思っていなかった若手が急に辞めるサプライズ退職がありましたが、今はなくなりました。
1on1の浸透とログの共有の仕組み構築にせよ、アンケートの定期実施にせよ、社内のメンバーの状況をしっかりと認識して、マネジメント層が発するメッセージや具体的な打ち手に反映できる仕組みがあるかどうかは大きな違いを生むと思います。
インタビュアー:他にも特徴的なことはありますか?ミッションの中の「新産業を創出し続ける」のところに絡む話はありますか?
伊藤:はい、「新産業を創出し続ける」を自分たちでも体現するために、新規事業への取り組みも活発化しています。ここ3年間で、7つの事業立ち上げに挑戦し、3つ撤退もしました。
新規事業への取り組み、イントレプレナー(社内起業家)人材の発掘・育成・機会提供などの仕組みについてもある種のR&Dを重ねていきたいと思っています。
既にここ3年間での同時多発的な事業立ち上げの経験から、組織ナレッジも蓄積しつつあります。今後も、イントレプレナーの活躍支援を社内外問わずにできるようになっていきたいと考えています。
インタビュアー:スローガンのカルチャーについて概観できるお話になったかと思います。本日はありがとうございました。
伊藤:ありがとうございました。
伊藤 豊スローガン株式会社 代表取締役社長
東京大学文学部行動文化学科卒業後、2000年に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。システムエンジニアの経験の後、関連会社での新規事業企画・プロダクトマネジャーを経て、本社でのマーケティング業務に従事。2005年末にスローガン株式会社を設立、代表取締役に就任。
マイスローガン:
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